骨盤が変わると膝まで変わる?足元から考える「運動連鎖」とは
- ささのうち整体院

- 8月3日
- 読了時間: 8分

「膝が痛いから、膝が悪い」
「太ももの外側が張るから、そこをほぐせばいい」
身体に痛みや張りがあると、どうしてもその場所だけに原因があるように感じます。
しかし、人の身体はそれぞれの関節や筋肉がバラバラに動いているわけではありません。
足首の動きが変われば膝が変わり、股関節が変わり、その上にある骨盤の位置まで変化します。
反対に、骨盤の位置が変われば股関節や膝、足の使い方にも影響します。
このように、一つの場所の動きが他の場所へ連続して影響していくことを「運動連鎖」といいます。
今回は特に変化をイメージしやすい「骨盤」を中心にお話ししますが、その前に知っていただきたいのが、
身体を支える土台には「足・足首」がある
ということです。
身体を家に例えるなら、足元は「基礎」
身体のつながりを、家に例えてみましょう。
家には土台があり、その上に柱や壁、屋根があります。
土台が傾けば、その上にある部分も傾きを補いながらバランスを取らなければなりません。
人の身体でも似たことが起こります。
立っているとき、地面と直接接しているのは足です。
その足の上に、
足首↓膝↓股関節↓骨盤↓背骨↓頭
と身体が積み重なっています。

つまり立つ・歩くといった動作では、足元の状態がその上にある身体全体へ影響する可能性があるということです。
なぜ足首が重要なの?
足首は、歩いたりしゃがんだりするときに大きく動く関節です。
特に重要なのが、すねが足の上を前へ進んでいく動きです。
歩くときにも、階段を上るときにも、しゃがむときにも、この足首の動きが必要になります。
ところが足首が十分に動きにくい場合、身体はそこで動きを止めるわけではありません。
人間は目的の動作を続けるために、別の場所を使って補います。
例えば、
足首が動きにくい↓膝の動き方を変える↓股関節の使い方を変える↓骨盤の位置を変える
といった調整が起こることがあります。
これも運動連鎖の一つです。

足首が動きにくいと骨盤まで変わる?
例えば、立った状態からしゃがんでみてください。
本来であれば、足首・膝・股関節がそれぞれ動くことで身体を下へ降ろしていきます。
しかし足首が硬く、すねを前へ倒しにくい場合はどうでしょうか。
そのままでは身体を十分に下げられません。
そこで、
かかとを浮かせる。
つま先を外へ向ける。
膝の向きを変える。
お尻を後ろへ引く。
上半身を前へ倒す。
など、別の場所を使って動作を完成させようとします。

つまり身体は、
「足首が動かないから、しゃがめません」
とはならず、
「では他の場所で動きを作ろう」
と調整してくれるのです。
これは悪いことではありません。
むしろ人間が日常生活を続けるために必要な、とても優れた仕組みです。
ただし、その補い方が毎回同じになり、特定の場所ばかりに負担が集中すると、張りや違和感につながることがあります。
そこで注目したいのが「骨盤」
足首から始まった変化は、その上にある膝や股関節を通して骨盤まで伝わります。
骨盤は上半身と下半身の間にあるため、身体の姿勢を考えるうえでとてもわかりやすい場所です。
例えば、椅子に浅く座り、背中を丸め、お尻が前へ滑った姿勢を想像してください。
このとき骨盤は後ろへ傾く「骨盤後傾」の状態になりやすくなります。
骨盤の位置が変われば、その下にある股関節の位置関係や筋肉の働き方も変化します。
その結果、人によっては股関節が外向きになり、
骨盤が後ろへ傾く↓股関節の使い方が変わる↓太ももが外へ向きやすくなる↓膝やつま先の向きも変わる
という連鎖が起こることがあります。
いわゆる「がに股」に近い立ち方です。

「骨盤が後傾しているから悪い」ではありません
ここで大切なのは、
骨盤後傾=悪い姿勢
と決めつけないことです。
骨盤は本来、前にも後ろにも動くものです。
股関節も内側・外側へ回旋します。
問題になるのは、その姿勢しか取れなくなったり、特定の方向ばかり使い続けたりしている場合です。
さらに、その骨盤後傾自体が、
「骨盤が悪いから」
起きているとは限りません。
もしかすると、
足首が動きにくい。
足の外側に体重が乗りやすい。
膝の動きに癖がある。
股関節が動きにくい。
長時間座っている。
といった別の理由から、結果として骨盤がその位置を取っている可能性もあります。
だからこそ、骨盤だけを見て判断するのではなく、足元から全体のつながりを見ることが大切です。
太ももの外側が張るのも「結果」かもしれません

「いつも太ももの外側ばかり張る」
「外側をマッサージすると楽になるけれど、またすぐ張る」
このような方もいらっしゃいます。
例えば股関節が外向きになり、脚の外側へ体重を乗せるような使い方が続けば、太ももの外側やお尻周辺が身体を支えるために頑張り続けることがあります。
ここで考えてほしいのは、
張っているから、そこが悪い
とは限らないということです。
張っている筋肉は、身体が倒れないように支えてくれている「頑張っている場所」かもしれません。
そのため外側だけをほぐしても、
足首↓膝↓股関節↓骨盤
という身体の使い方が変わらなければ、再び同じ場所に負担がかかることがあります。
股関節の向きが変われば、膝への力も変わる
膝は、主に曲げ伸ばしをする関節です。
その上下にある股関節や足首に比べると、自由にいろいろな方向へ動く関節ではありません。
そのため、
足首の動きが少ない
あるいは、
股関節の向きが変わる
と、その間にある膝が影響を受ける場合があります。
例えば、
足首の動きが変わる↓膝の向きが変わる↓股関節の回旋が変わる↓骨盤の位置が変わる
こともあれば、
骨盤の位置が変わる↓股関節の向きが変わる↓膝にかかる力の方向が変わる↓足の接地も変わる
こともあります。
運動連鎖は、一方通行ではありません。
膝の内側が痛くても、膝だけが原因とは限らない
例えば膝の内側に痛みがある場合、
「膝の内側が悪い」
と考えてしまいます。
もちろん、膝関節そのものの問題が原因となる場合もあります。
しかし一方で、
足がどのように地面へ接しているのか。
足首がどのくらい動いているのか。
膝がどこを向いているのか。
股関節が内外どちらへ動きやすいのか。
骨盤がどの位置にあるのか。
こうした身体全体の使い方によって、膝にかかる負担の場所や方向が変わることもあります。
その状態で歩行や階段、立ち座りを毎日繰り返せば、小さな負担でも積み重なっていきます。
だから、
「膝が痛い=膝だけを見る」
ではなく、
「なぜ膝に負担がかかっているのか?」
まで考えることが重要です。
運動連鎖は「上から」も「下から」も起こる
身体の動きは、
足 → 足首 → 膝 → 股関節 → 骨盤
という下から上への連鎖だけではありません。
骨盤の位置や上半身の姿勢が変われば、
骨盤 → 股関節 → 膝 → 足首 → 足
という上から下への影響も起こります。
つまり身体は、
「足首が原因」
「骨盤が原因」
と一つだけに決められるほど単純ではありません。
ただ、立つ・歩くという日常動作を考えたとき、最初に地面から力を受けるのは足です。
そのため当院では、骨盤や膝、腰に症状がある場合でも、足元や足首の動きまで確認することを大切にしています。
大切なのは「どこが悪い?」より「なぜそうなった?」
例えば骨盤が後傾している人を見たとします。
そこで、
「骨盤を起こしましょう」
だけでは十分ではない場合があります。
なぜなら、その方が骨盤を後傾させている理由が別の場所にあるかもしれないからです。
足首が硬いから?
膝をうまく使えていないから?
股関節が動きにくいから?
長時間の座り姿勢が続いているから?
痛みを避けるためにその姿勢になっているから?
こうした背景を考えることで、
「骨盤が後傾している」という結果ではなく、その人がなぜその姿勢を選んでいるのか
が見えてきます。
身体を見るときは「足元から全身へ」
膝が痛ければ膝を確認する。
腰が痛ければ腰を確認する。
これはもちろん大切です。
しかし、それだけではなく、
足のどこに体重が乗っているか。
足首は十分に動いているか。
膝はどの方向へ動いているか。
股関節はどう使われているか。
骨盤はどの位置にあるか。
上半身はどのようにバランスを取っているか。
こうした全身のつながりを見ることで、
「なぜそこに負担が集中しているのか」
を考えることができます。
まとめ

身体は、一つ一つの関節が独立して動いているわけではありません。
足が変われば足首が変わる。
足首が変われば膝が変わる。
膝が変われば股関節が変わる。
股関節が変われば骨盤も変わる。
そして骨盤や上半身の変化が、再び足元へ影響することもあります。
これが身体の「運動連鎖」です。
特に立つ・歩くといった動作では、地面と接する足・足首は身体を支える土台になります。
だからこそ、
「膝が痛いから膝だけ」
「腰が痛いから腰だけ」
「骨盤が傾いているから骨盤だけ」
ではなく、
足元から身体全体のつながりを見ること
が大切です。
痛みが出ている場所は、原因そのものではなく、身体のどこかを補うために頑張り続けている場所かもしれません。
「どこが痛いのか」だけではなく、
「なぜそこに負担がかかっているのか?」
身体のつながりから考えていくことが、不調を理解する第一歩です。
最後までご覧いただきありがとうございました。



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