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【第1部】産後の骨盤は本当に開いたまま?妊娠・出産で骨盤に起こる本当の変化を整体師が解説

左に妊婦のシルエット、右に赤ちゃんを抱く母親。中央に「産後の骨盤は本当に開いたまま?」と骨盤図、淡色のやさしい背景。

「産後は骨盤が開いたままになるから、早く骨盤矯正をした方がいい。」


このような話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。


出産後に腰痛や股関節の痛み、体型の変化を感じると、「骨盤が開いてしまったのが原因かもしれない」と不安になる方も少なくありません。


しかし、本当に骨盤は開いたまま戻らないのでしょうか。


実は、妊娠・出産によって身体にはさまざまな変化が起こりますが、「骨盤が開いたままだから不調が続く」という考えだけでは説明できないことが多くあります。


今回は、妊娠・出産によって骨盤にどのような変化が起こるのかを、できるだけわかりやすく解説していきます。



妊娠中の身体は出産のために大きく変化する


妊娠で体が変化する流れを示す図。妊婦、リラキシン、骨盤の緩み、赤ちゃんの出産しやすさを4段で説明。

妊娠すると、お腹が大きくなるだけではありません。

赤ちゃんを安全に育て、出産を迎えるために、身体全体が少しずつ変化していきます。

その変化の一つが、靭帯(じんたい)が柔らかくなることです。


靭帯とは、骨と骨をつないで関節を安定させる組織です。

妊娠中は「リラキシン」というホルモンなどの影響により、骨盤周囲の靭帯が通常よりも柔らかくなります。

これは異常なことではなく、赤ちゃんが産道を通りやすくするために身体が自然に行っている準備です。


つまり、妊娠中の身体の変化は「壊れている」のではなく、「出産のために適応している状態」と考えることができます。



「骨盤が開く」とはどういうこと?


骨盤の構造を説明する図。左右の寛骨と仙骨、骨盤全体の模式図に加え、仙腸関節と恥骨結合が少し動くと示している。

「骨盤が開く」という言葉はよく耳にしますが、実際にはどのような状態なのでしょうか。

まず知っておきたいのは、骨盤は一つの大きな骨ではありません。


左右の寛骨(かんこつ)と、後ろにある仙骨(せんこつ)が組み合わさってできています。

これらは、

  • 恥骨結合(ちこつけつごう)

  • 仙腸関節(せんちょうかんせつ)

という関節でつながっています。


妊娠・出産では、この関節や靭帯が少し柔らかくなり、出産しやすい状態になります。

ここで誤解されやすいのが、「骨盤が大きく開いてしまう」というイメージです。


骨盤の誤解と実際の違いを説明する図。左は驚く女性と開いた骨盤の誤解、右は指差す女性と少し動く程度の実際、下に体全体のバランスが重要とある。

実際には、骨盤全体が大きく左右に広がるわけではありません。

関節にはもともとわずかな動きがあり、妊娠・出産によってその動きが少し大きくなる程度と考えられています。


つまり、「骨盤がパカッと開いたまま固定される」というイメージとは大きく異なります。



出産後の骨盤は自然に戻ろうとする


産後の身体は自然に回復する流れを示す図。出産、ホルモン減少、靭帯回復、体力回復の4段階を女性イラストと図で説明。

出産が終わると、身体は再び妊娠前の状態へ戻ろうとします。


リラキシンなどのホルモンの影響も徐々に少なくなり、柔らかくなっていた靭帯も時間をかけて元の状態へ近づいていきます。


もちろん、回復のスピードには個人差があります。

年齢や体質、妊娠・出産の経過、生活環境などによって回復には違いがありますが、多くの場合、身体は自然に回復する力を持っています。


「何もしなければ骨盤は戻らない」というわけではありません。

人の身体には、本来備わっている回復能力があります。


だからこそ、産後に必要なのは、「無理に骨盤を戻すこと」よりも、「身体が回復しやすい環境を整えること」なのです。



それでも産後に不調が出るのはなぜ?


産後の不調の原因を示す日本語インフォグラフィック。中央に疲れた女性、周囲に睡眠不足や抱っこ・授乳姿勢などの要因が円で並ぶ。

ここまで読むと、

「じゃあ、どうして産後に腰痛や股関節の痛みが起こるの?」

と疑問に思う方もいるでしょう。


実は、産後の不調は骨盤だけでは説明できません。


例えば、

  • 妊娠中に運動量が減ったことによる筋力低下

  • お腹の筋肉が十分に働きにくくなっている

  • 骨盤底筋群の機能低下

  • 赤ちゃんを抱っこする時間の増加

  • 授乳姿勢

  • 睡眠不足

  • 疲労の蓄積

  • ホルモンバランスの変化

このようなさまざまな要因が重なって身体に負担をかけています。


さらに、赤ちゃん中心の生活になることで、自分の身体を休ませる時間が取りにくくなることも少なくありません。


つまり、「骨盤が開いたから腰痛になる」という単純な話ではないのです。

身体全体の変化や生活環境まで含めて考えることが大切になります。



骨盤だけを見ると、本当の原因を見落としてしまうことも


整体院で、

「骨盤が歪んでいますね。」

と言われた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、骨盤周囲の状態を確認すること自体は大切です。

しかし、それだけで身体の状態をすべて説明することはできません。


例えば、

  • 股関節の動き

  • 胸郭や背骨の動き

  • 足首の柔軟性

  • 呼吸の状態

  • 筋肉の使い方

  • 日常生活の姿勢や動作

こうした要素も身体には大きく影響しています。


身体は一つひとつの部位が独立して働いているわけではなく、お互いに協力しながらバランスを保っています。

そのため、一か所だけを見て原因を決めつけてしまうと、本当の問題を見逃してしまうこともあります。



当院の考え方


整体の説明図。中央に女性と「身体全体を評価」、周囲に胸郭・呼吸・姿勢・股関節・足首・筋肉・生活習慣・骨盤の項目が円で配置され、下に「骨盤だけではなく身体全体をみています」とある。

当院では、「産後だから骨盤だけを整える」という考え方はしていません。


もちろん、骨盤周囲の状態は確認します。


しかし、それ以上に大切なのは、

  • 身体がどのように動いているか

  • どの筋肉が働きにくくなっているか

  • 育児によってどのような負担がかかっているか

を全身から評価することです。


産後の身体は、一人ひとり違います。

だからこそ、「全員同じ骨盤矯正をする」のではなく、その方の身体の状態に合わせて考えることが重要だと私たちは考えています。



まとめ


妊娠・出産によって骨盤周囲には確かに変化が起こります。

しかし、それは赤ちゃんを安全に出産するための自然な身体の変化です。


また、多くの場合、出産後は身体が本来持っている回復力によって、少しずつ元の状態へ戻ろうとします。

そのため、「産後は骨盤が開いたままだから必ず骨盤矯正が必要」と考えるのは少し単純すぎるかもしれません。


産後の身体を理解するためには、骨盤だけを見るのではなく、筋肉や姿勢、生活習慣、育児による負担など、身体全体を見ていくことが大切です。


次回の第2部では、多くの方が気になる

「産後に体型が変わったのは本当に骨盤のせいなのか?」

について、整体師の視点から詳しく解説していきます。


最後までご覧いただきありがとうございました。

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