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肩こり・巻き肩の原因は「小胸筋」?肩甲骨の動きとの意外な関係

5 日前
読了時間: 8分
肩を押さえて痛そうな女性と、胸郭・肩甲骨・小胸筋の解剖図。吹き出しに「肩こり…」「巻き肩…」「腕が上がりにくい…」とある。

「小胸筋」と肩甲骨の意外な関係


「肩がこるから、肩を揉んでいる」

「肩が上がりにくいから、肩のストレッチをしている」

「肩甲骨が硬い気がするから、肩甲骨を一生懸命動かしている」


このような方は多いのではないでしょうか。


もちろん、肩まわりの筋肉をほぐしたり動かしたりすることは大切です。


しかし、なかなか肩こりが楽にならない、腕が上げづらい、肩甲骨が動きにくい……。


そんなとき、実は「肩の後ろ」ではなく「胸の前」に原因の一つが隠れていることがあります。


そこで今回注目したいのが、

「小胸筋(しょうきょうきん)」

という筋肉です。


名前はあまり聞いたことがないかもしれませんが、肩甲骨の動きに深く関係する重要な筋肉です。


今回は、

「小胸筋とはどんな筋肉なのか?」

「硬くなると身体にどんな影響があるのか?」

「肩こりや四十肩・五十肩と関係する可能性はあるのか?」

という点を、できるだけ分かりやすく解説していきます。



小胸筋とは?


小胸筋とは?の解説図。胸部の筋肉と第3〜5肋骨、肩甲骨烏口突起の起始・停止を示し、横からの図もある。

胸の筋肉と聞くと、多くの方がイメージするのは「大胸筋」ではないでしょうか。


筋トレで鍛える、胸板をつくる大きな筋肉です。


実はその大胸筋のさらに奥に、比較的小さな筋肉があります。


それが小胸筋です。


小胸筋は、おおよそ第3〜5肋骨から始まり、肩甲骨にある「烏口突起(うこうとっき)」という部分につながっています。


つまり、

「肋骨と肩甲骨をつないでいる筋肉」

と考えると分かりやすいでしょう。


ここが非常に重要です。


肩甲骨は背中側にあるので、肩甲骨を動かす筋肉も背中側にあると思われがちです。


しかし実際には、身体の前側から肩甲骨につながり、その位置や動きに影響を与える筋肉もあります。


その代表的なものが小胸筋なのです。



小胸筋はどんな動きをする筋肉?


小胸筋は肩甲骨の烏口突起から肋骨につながっているため、収縮すると肩甲骨を前方・下方へ引く方向に働きます。


例えば、肩を少し前に出してみてください。


肩甲骨も背骨から離れ、外側・前方へ移動していきます。


このような肩甲骨の位置や動きに小胸筋が関係しています。


小胸筋自体は決して悪い筋肉ではありません。


肩甲骨を安定させたり、身体の動きに合わせて肩甲骨をコントロールしたりするために必要な筋肉です。


問題になる可能性があるのは、

「必要以上に緊張している」「短くなった状態が続いている」

場合です。



小胸筋が硬くなると「肩が前に引っ張られる」?


小胸筋が硬くなるとどうなる?正常と硬い状態を比較する解説図。胸郭と肩甲骨の位置、巻き肩への変化を女性横顔と骨格図で示す。

小胸筋が短くなった状態では、肩甲骨が前方へ引かれやすくなります。


分かりやすく言えば、

肩が前に巻き込まれたような姿勢

につながる可能性があります。


いわゆる「巻き肩」と呼ばれる姿勢です。


例えば、

・長時間のデスクワーク

・スマートフォンを見る時間が長い

・前かがみで作業することが多い

・運転する時間が長い

・腕を身体の前で使う仕事が多い

このような生活では、肩が前方に位置する時間が長くなりがちです。


すると小胸筋も短い位置に置かれる時間が増えます。


その状態が長期間続くことで、小胸筋周辺の柔軟性や肩甲骨の動きに影響しているケースも考えられます。



肩甲骨は「腕を上げる」ときにも動いている


腕を上げると肩甲骨も動く解説図。背中の人体イラストで、下ろす・90度・180度の3段階と上方回旋、後傾、外転を矢印で表示。

ここでぜひ知っていただきたいのが、

腕を上げる=肩関節だけが動いているわけではない

ということです。


例えばバンザイをしてみてください。


腕だけが動いているように感じますが、実際には腕が上がるのに合わせて肩甲骨も動いています。


肩甲骨は、

・上方回旋

・後傾

・外旋

など、いくつもの動きを組み合わせながら腕の動きをサポートしています。


つまり、

「肩がスムーズに動くためには、肩甲骨がスムーズに動くことも重要」

なのです。



小胸筋が硬いと肩甲骨の動きを邪魔する?


小胸筋が肩甲骨の動きを妨げる仕組みを解説する図。胸郭・肩甲骨の解剖図と矢印で、腕が上がりにくい流れを示す。

ここで小胸筋が関係してきます。


小胸筋が短くなったり緊張が強くなったりすると、肩甲骨を前側へ引っ張る力が強くなることがあります。


すると腕を上げるときに必要な肩甲骨の動き、特に「後ろへ傾く動き(後傾)」などが出にくくなる可能性があります。


イメージとしては、

肩甲骨に前からロープがついていて、そのロープを引っ張ったまま腕を上げようとしている状態

です。


肩関節そのものに大きな問題がなかったとしても、肩甲骨が十分についてこなければ、腕は動かしにくくなります。


その結果、

「腕が上げづらい」

「肩の前側が詰まる感じがする」

「バンザイすると肩に違和感がある」

「肩甲骨が動いていない気がする」

といった感覚につながることがあります。



「肩甲骨が硬い=背中の筋肉が硬い」とは限らない


患者さんからも、

「肩甲骨が硬いんです」

という相談を受けることがあります。


すると多くの方は、

「背中の筋肉をほぐせばいい」

と考えます。


しかし、肩甲骨を動きにくくしている原因が必ずしも肩甲骨の「後ろ側」にあるとは限りません。


前側にある小胸筋が肩甲骨を引っ張っていることで、結果的に肩甲骨の動きが制限されている可能性もあります。


つまり、

動きにくい場所と、原因となっている場所が同じとは限らない

ということです。


これは身体を見るうえで非常に重要なポイントです。



小胸筋と肩こりの関係


「小胸筋が硬いと肩こりになりますか?」


これはよく聞かれる疑問です。


結論としては、

小胸筋だけが肩こりの原因とは言えませんが、肩こりを生み出す身体の状態に関係している可能性があります。


小胸筋によって肩甲骨が前方へ引かれた状態になると、その位置を支えるために首や肩、背中の筋肉が余計に働かなければならない場合があります。


特に首から肩にある僧帽筋などが頑張り続ける状態になると、

「肩がずっと張っている」

「首から肩が重い」

「揉んでもすぐ元に戻る」

といった状態につながる可能性があります。


この場合、つらさを感じている肩だけを揉んでも、肩甲骨を前から引っ張っている要因が残っていれば、身体は同じ状態に戻ろうとします。


肩こりを見るときには、

「痛いところ」だけでなく、「なぜそこに負担がかかっているのか?」

まで考えることが大切です。



四十肩・五十肩にも関係する?


四十肩・五十肩についても同じです。


まず大切なのは、

「小胸筋が硬い=四十肩・五十肩になる」わけではありません。


四十肩・五十肩(一般的には凍結肩・肩関節周囲炎などと呼ばれる状態)は、関節包をはじめ肩関節周囲の組織が関係するため、小胸筋だけで説明できるものではありません。


しかし、肩が痛くなると人は無意識に腕を動かさなくなります。


肩をかばって、

「腕を身体の前に置く」

「脇を締める」

「肩を前に丸める」

といった姿勢をとることがあります。


その状態が続けば、小胸筋周辺も動きにくくなり、肩甲骨の可動性まで低下していく可能性があります。


すると、

肩が痛い↓動かさなくなる↓肩甲骨も動きにくくなる↓さらに腕を動かしにくくなる

という悪循環につながることも考えられます。


そのため肩の動きを改善していく際には、肩関節だけを見るのではなく、

「肩甲骨がきちんと動けているか?」

という視点も非常に重要になります。



こんな方は小胸筋もチェックしてみましょう


例えば、

・肩が前に出ている

・猫背や巻き肩が気になる

・デスクワークが多い

・スマートフォンを長時間使用する

・腕を上げると肩の前が詰まる

・バンザイがしにくい

・肩甲骨を動かしにくい

・肩を揉んでもすぐ肩こりが戻る

・左右で肩の位置が違う

こうした方では、小胸筋を含めた胸の前側と肩甲骨の関係を確認してみる価値があります。


ただし、小胸筋が硬いかどうかだけで身体の状態を判断することはできません。


胸椎の動き、肋骨、肩関節、肩甲骨周囲筋、首の状態なども含めて評価することが大切です。



大切なのは「小胸筋をほぐすこと」ではありません


ここまで読むと、

「じゃあ小胸筋をストレッチすればいいんですね」

と思うかもしれません。


しかし、身体はそれほど単純ではありません。

小胸筋が硬くなっていたとしても、

「なぜ小胸筋がその状態になったのか?」

まで考える必要があります。


長時間の姿勢なのか。

胸椎が動きにくいのか。

肩甲骨を支える筋肉がうまく働いていないのか。

肩の痛みをかばった結果なのか。


原因によって必要なアプローチは変わります。


実際、小胸筋へのストレッチによって肩の痛みや機能が改善した研究もありますが、小胸筋の長さや肩甲骨の動きそのものには明確な変化がみられなかったという報告もあります。


つまり、

「小胸筋を伸ばせばすべて解決する」というわけではない

ということです。



まとめ|肩の不調は「胸の前」から考えてみる


肩の不調は肩だけを見ないと示す日本語の図解。背面の女性と小胸筋・肩甲骨・肩関節・首肩筋肉・胸椎のイラストと矢印、白赤青緑の説明枠。

小胸筋は小さな筋肉ですが、肋骨と肩甲骨をつないでいるため、肩甲骨の位置や動きに関係しています。


小胸筋が短くなったり緊張したりすると、肩甲骨が前方へ引かれやすくなり、腕を上げるときに必要な肩甲骨の動きを邪魔する可能性があります。


その結果として、

肩こり、巻き肩、肩の動かしにくさ、肩甲骨の可動性低下などに関係している可能性があります。


ただし大切なのは、

「小胸筋が悪い」と決めつけないこと。


肩の動きは、肩関節だけでなく、

肩甲骨、鎖骨、胸椎、肋骨、首、そして多くの筋肉が連動することで成り立っています。


「肩が痛いから肩だけを見る」

「肩甲骨が硬いから背中だけほぐす」

ではなく、

なぜ肩甲骨が動きにくくなっているのか?

なぜ肩や首の筋肉に負担がかかっているのか?

そこまで考えることが、身体を整えていくうえでは重要です。


なかなか改善しない肩こりや肩の動かしにくさ。


もしかすると、その原因の一つは「肩」ではなく、

胸の奥に隠れている小さな筋肉「小胸筋」かもしれません。


最後までご覧いただきありがとうございました。

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